2015年2月24日火曜日

学生紹介:佐藤美代(修士2年)



Q お名前と作品名を教えてください。

 佐藤美代です。
「きつね憑き」を制作しました。


 


Q 本専攻に入る前はどんなことをされていましたか?
 また、なぜ本専攻に入ろうと思いましたか?

名古屋の芸大のデザイン科を卒業してから、地元で上映会を企画したり自主制作をしながら、あまり映像制作と関係のない
ところで働いたりしていました。
本専攻には興味があったけどその頃は自分がやりたい方向に迷っていました。
1年半くらいして、広島アニメーションフェスティバルで会った本専攻の卒業生の友人に相談したら、
「作りたいものがあったら来た方がいい!」と言われ、決意しました。




Q 本作品を作ったきっかけを教えてください。

物語作品を作ることが入学前からの念願でした。
子どもの本や児童文学が好きで、そこへの興味が尽きなかったので、まずは自分の興味のあるところから要素をすくって
作ってみたかったのと、自分自身の頭の中にないもの(今作では原作という完成された作品)から発想させて作品を作る
ことで見えてくるものや学ぶことがあるんじゃないかなという期待もありました。

私は本を読んでいる時や音楽を聴いている時、瞬間的に頭のなかでいろんな映像のイメージを再生させるのですが
原作である新美南吉の「狐」を読んだときもそうで、ただ、その一瞬ではなくて
いつかこのお話をアニメーションにしたいという気持ちが自然に沸き上がっていた気がします。

あと、学部時代からの付き合いでとても気の合う友人が、原作である「狐」を知っていて、偶然わたしに「狐」の絵本を
送ってくれたこともひとつのきっかけです。
その頃「狐」をもとに作品を作ろうか、それとも違うことをしようかと悩んでいたので、
どうして私のやりたいことが分かったんだろう?とびっくりしました。
友人とは南吉の話も「狐」の話もしたことがなかったのにも関わらず、同じ時期に同じものに惹かれていたと
いうことに驚きつつ、なんだか運命的なものすら感じてもうこれは作らなきゃいけないのかもと思っていました。
踏み切る後押しをしてくれた友人にとても感謝しています。


Q 制作プロセスを教えてください。

はじめにイメージ画を描きつつ、制作技法を考え、原作を元に脚本を作りました。
脚本作りでは、原作通りのボリュームでつくるとおそらく20分以上になるお話を、出来るだけ大事な要素を失わないように、
製作期間のことも考えて半分以下の尺のアニメーションとして伝えられる脚本に仕上げるのにそれなりに時間をかけました。
実写映画の脚本家の方に会って、ご意見をもらったりもしました。
物語の舞台は1920年代くらいの時代背景な上、方言訛りの台詞が出てくるので、原作の生まれた土地の雰囲気とか空気をちゃんと知りたいと思って
愛知県半田市に取材や人物の台詞、祭囃子の録音に行きました。
本編に流れる祭囃子の音は、実際に現地の方々に協力してもらって、演奏を録音したものです。




脚本と絵コンテがだいたい決まったら動画コンテを作って、同時に台詞やナレーションのタイミングを決めます。

今回は、マルチプレーンというガラス板を数枚組んだ台に、水彩絵の具や油絵の具や砂を使って絵を描いて、コマ撮りで撮影しました。
水彩絵の具にはグリセリンを混ぜて、半永久的に乾かない絵の具にしてから描いています。
アニメーション監督のキャロライン・リーフさんの作品に影響を受けて、その技法を参考にしました。

砂は、暗室の中で下から光を当てると影絵のような見え方になるので、それを利用して絵を作っていました。
撮影し終わったカットから編集して、音楽や音響の人とのやり取りをしつつ、ポスプロに移っていくという流れです。




Q 今回、何を一番重視して制作しましたか?

ちゃんと人に伝わるように、、、
絵の完成度よりも物語としての完成度を重視しました。


Q 制作の合間にしていた気分転換は何ですか?

作業しだすと単発的に気分の切り替えが出来ないタイプで、何かきっかけがないとやめれないので、
石谷さんはじめ同期が大学で淹れてくれる珈琲とその場のゆるいおしゃべりが良い気分転換でした!

昨年の夏に、広島アニメーションフェスティバルに行ったついでに宮島に行ったり、
新潟県の佐渡島へ旅行したのも良い気分転換になりました。





Q 在学中で一番印象に残った出来事は何ですか?

海外の素晴らしい作家の方々にお会いすることが出来たことです。
山村教授が年に数回企画している公開講座の、「コンテンポラリーアニメーション」で来日した海外ゲストとは
学内での交流もあって、とても貴重な機会でした。
特にジョルジュ・シュヴィツゲベルさん、ルース・リングフォードさんの作家としての姿勢や、
制作について話す時やアニメーションを観る時のとても真剣な眼差しが印象的でした。

大学のロビーに、同期のkoya君が持ってきたファミコンがあるのですが、
ゲーム上級者のkoya君がテトリスを始めたら、ジョルジュさんがそれを真っすぐな眼差しでじっと見ていらして、
あまりにも真剣な眼差しだったので、ひょっとしてもの凄い上級者じゃないかと思って
皆が注目するなかで対決したら、全くの初心者だったみたいで、、、
まっすぐにブロックを積んでいたのが微笑ましかったです!

すごいアニメーションを制作される作家陣の意外な面が見れたのもとても印象的な思い出です。




佐藤美代さんの作品「きつね憑き」は横浜・東京会場共に「第六期生修了作品」プログラムにて上映いたします。 

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